2016(平成28)年11月グリーフワークかがわ
ニュースレター第151号(HTML版)

2016(平成28)年12月7日 グリーフワークかがわ広報部

◆2016年度グリーフカウンセラー養成講座・基礎コース終了◆


2016年度グリーフカウンセラー養成講座・基礎コース(全6回)が、11月24日に閉講され、14名の方が修了しました。12月1日にはグリーフカウンセラー資格認定審査に関する説明会が行われました。


◆第25回グリーフワークかがわ公開セミナー報告◆


テーマ:グリーフワークとは

グリーフワークは、対象者(自分自身、大切なだれか、身の回りの出来事)に起こる、原因(個人が持つ、人、物、地位などの有形無形の喪失感)に対する喪失反応である。

グリーフの進行過程には、それぞれの時期に対して進行特性がある。個人差もあり、反応や期間に一貫性はない。カウンセラーはクライエントが自身の力で乗り切ることができるよう、時間をかけて寄り添うことが必要である。そして、クライエント個人だけでなく取り巻く環境を同時に改善することが有効である。相手の話を聞く、正しい理解で寄り添うことが大切である。

受講された方の感想として、家族の介護をされている方や退職後の就労相談に関わっている方、高齢(百歳近く)で家族を亡くされた方などのエピソードが話され、相手の話を聞き、相手を知ろうとする姿勢がとても大切であるという意見が交わされた。


◆リビングwithグリーフ◆


危機管理とティッピング・ポイント

花岡 正憲


ある日妻から別れ話を切り出され,夫は狼狽する。妻の話を聞くうちに,夫婦の危機は早くから始まっており,その解決を先送りしてきたため,二人の関係は,もはややり直せないところまで来ていることに気づかされる。突然やってきた破局に,夫は,後悔とも怒りともつかぬ感情に襲われる。

それまで小さく,緩やかに変化していた物事が,突然不可逆的な大きな変化に移行してしまう。途中で異変に気づき,来た道を戻ろうとしても手遅れになっている。こうした転換点をティッピング・ポイント(tipping point)と呼ぶ。物事がカタストロフィに向かう臨界点とも言える。

ティッピング・ポイントは,地球温暖化に関して言及されることも多い。気候変動は,あるレベルを超えると,気候システムに不可逆的な大きな変化が生じる可能性があることが指摘されている。すでに爆発的に温暖化が進み,手遅れの事態になる方向にスイッチが入ってしまっているのではないかと危惧する向きもある。

オゾンホールは,地球を太陽の紫外線から守るオゾン層の濃度が減少することで生じる環境問題である。世界が危機意識をもって団結し行動を起こした結果,オゾンホールは縮小に向かっているという。

ティッピング・ポイントは,物事が爆発的に流行して社会に広まる際に,その転換点を指して用いられることもあるが,むしろ潜在する負の効果をもたらす事象に気づくための大切な鍵概念である。

嫌悪をぶつけることに慣れてしまったヘイトスピーチや差別的発言,数にものを言わせて結論を急ぐ熟議なき国会など,これまで抑制的であったものが解き放たれて,英知が後退し真理を追究しなくなるというのも,私たちの危機である。

英国のEUからの離脱,排外主義と保護貿易を掲げるトランプ次期米国大統領の登場,欧州各国に見られる保守主義の台頭などは,グローバリゼーションから国権主義への一時的なバックラッシュなのか,それとも,世界が,分断,対立,戦争に向かうティッピング・ポイントを越えたと見ることができるのか。

疲れやすさを感じながら,「まだ行ける,まだ行ける」と日々を送るうちに,生きるのが辛くなり死ぬことを考えるようになる。うつ病は,たとえ命を絶つことを思いとどまっても,社会生活からの長期の撤退を余儀なくされるのが一般的だ。振り返ると,余裕がなくなり,普段楽しめていたことが楽しめなくなっていた,あの時が節目だったことに気がつくことがある。心の病を招くティッピング・ポイントも見過ごされやすい。

深刻な事態を招いた後に,振り返れば,あの時なら間に合ったと感じることは,よくあることだ。異変を感じながらも,まだ行けるとやり過ごすのではなく,軽微な変化であってもその違和感に敏感であることは欠かせない。危機管理は,「もうはまだなり」ではなく,「まだはもうなり」である。

(グリーフカウンセラー 精神科医)
2016・12・4


◆2016年11月13日 第100回 理事会開催◆


《報告事項》


第99回理事会で第1号議案の中で確認事項として挙げられた以下の内容について生駒税理士事務所奥田氏に確認した報告があった①活動計算書の『経常収益』含む項目の「収益」の表記については,「収益」は収入から必要経費を除したものとは限らず問題ないとのこと。

②『公開セミナー(27年度返還金)』の記載については,奥田氏から高松市と香川県に確認をしているが,市,県ともにわからないという回答であった。


《審議事項》


第1号議案

2017年度香川県自殺対策事業の実施予定に関する事項

香川県から照会があり10月31日をもって2016年度と同様の内容で見込み額を提出した。

今後,具体的に予算案を作成するに当たり,実務者研修として会員の研修参加費,旅費が認められるかを県に確認し,次回理事会でさらに審議することで了承された。

第2号議案

2016年度香川県自殺対策事業の上半期の実施状況に関する事項

上半期の実施状況について,事務局より報告があり,次の内容で了承された。①各事業のブロシュールについて修正箇所の確認を行った結果,過去3年前と2年前の在庫分については修正箇所が煩雑であり処分することとした。②昨年度作成したブロシュールの修正箇所を植田理事が確認し,次回理事会で承認を得たうえでAIYAシステムに依頼し増刷することで了承された。③冊子は今年度中に新しいデータに修正することとする。④講師報償費等の支払いは予算どおりとし,支払いは3月に行うこととする。

第3号議案

新規事業「グリーフワークデイ(仮称)」に関する事項

第49回認定カウンセラー会議で丸亀町ドームの空き状況を調べ今年度も行うことが提案された。事務局で空き状況を確認したうえで,3月11日に11時から14時まで予約し「グリーフワークをご存知ですか」というテーマで行うことで了承された。第50回認定カウンセラー会議で内容を検討するとともに参加の呼びかけを行う。

第4号議案

グリーフカウンセラー認定に関する事項

GC養成講座修了者を中心とする認定について,村上典子認定委員長から11月19日に認定委員会を開催し今後のスケジュールを決めていくとの報告があり,了承された。

第5号議案

公開セミナーに関する事項

1月以降の公開セミナーについて,新事業として検討している「喪失を経験した子どもの親・保護者グループ」に繋がる内容で担当理事から講師を依頼することで了承された。


◆2016年11月20日 第50回 認定カウンセラー会議◆


【審議事項】

1.グリーフワークディについて

  • 第100回理事会で審議された内容として、2017年3月11日にグリーフワークの啓発を目的にグリーフワークディを開催することが杉山理事長から報告された。「グリーフワークご存じですか?」というテーマで街頭で呼びかけを行うこととし、会場は調整中である。グリーフワークディ開催に向けて、認定カウンセラー会議でも意見が出された。来月も引き続き検討していくこととなった。


【勉強会】


議題での話し合いで予定時間終了となったため、今月の勉強会は行われなかった。

次回で第1章「子どもたちの喪失と悲しみ」が終了予定。第2章の担当者を決める。