2017(平成29)年2月グリーフワークかがわ
ニュースレター第154号(HTML版)

2017(平成29)年3月8日 グリーフワークかがわ広報部

◆2017年3月11日~16日は、子供のグリーフワーク週間◆


グリーフワークかがわでは、3月11日午前11時30分から高松丸亀町壱番街前ドーム広場において、子どものグリーフワーク啓発活動を行います。

  • グリーフワークデーバナー

◆第27回グリーフワークかがわ公開セミナー報告◆


テーマ:「グリーフワーク~訪問看護師の私が学び、支援者になる時~」

  • セミナーの後でKSBの取材を受ける杉山洋子理事長
    セミナーの後でKSBの取材を受ける杉山洋子理事長

講師:林 英里果 保健師/看護師/産業カウンセラー/グリーフカウンセラー

看護師、産業カウンセラー、そしてグリーフカウンセラーでもある講師が、同士を得て「訪問看護」と言う形で半年前に事業所を立ち上げた。そこに至るまでの数々の体験とその時々の思いが語られた。

友人の弟の「死」を受け入れ切れなかった幼い日の自分のこと、学生時代に友人の死を体験し、その母親の悲嘆を目の当たりにしたこと、病院勤務の看護師として働く中、医療現場で出会った人々(患者やその家族)の喪失や悲嘆を身近に感じてきた日々のこと。このように様々な体験を積み重ねるうち、理解者・支援者の存在の大切さを知り、「在宅療養のサポート」という形で訪問看護師という方向に導かれたことが語られた。

在宅ケアでは特に、ケアされる側のグリーフはもちろん、ケアする側のグリーフも見逃せない。大切な人をなくすことで、残された人におこる反応に敏感に対応しなければならない。寄り添うことが支援者としての姿勢であると感じているが、気持ちや感情を安心して語れる相手になれているか、訪問看護の利用者と同じように家族にも寄り添えているかを常に自問自答しながらの毎日であると…。

一人一人を大切に思い、心に寄り添うことで、共に思い出をたくさん作れるような関わりを持ちたいとの願いで締めくくられた。

セミナーの進行においては、グループワークを取り入れ参加者からは質問や意見交換が積極的におこなわれた。


◆リビングwithグリーフ◆


リスペクトなき社会で失われるもの

花岡 正憲


新しくオープンしたレストランへ入ると混みあっていた。店内顧客係らしい人がやってきて,名前を書いて待ってくれと言う。順番待ちリストに名前を書いて少し待ったが,客の動きが鈍いのが気になり,どれぐらい待つのか尋ねると,1時間半ぐらいだという。客は1時間半待たされることについて何も言わないと思って待てと言ったのか,先にそれを言ってほしかった,と言い返したくなった。待ってまで食べるほどのレストランでもなさそうだという気持ちになり,順番待ちを取り消して店を出た。

英語のリスペクトは,本来,他者の事情を慮るということである。それが転じて尊敬と言う意味で使われるようになった。最近,尊敬や敬意ではなく,リスペクトと言う表現を耳にすることがよくある。原義としてのリスペクトが大切だという関心のあらわれなのだろうか。

分煙できていない空間では,いまだにタバコに火をつける人がいる。悪意がないとは言え,「自分がしていることを嫌がる人はいるかもしれないが,口に出してまで文句を言う人はいないだろう」と思ってやっているのであれば,リスペクトを欠く行為だ。背後には,自分の行為が他者に不快感を与えることがあるかも知れないという不都合な現実を否認する心理が働いている。

近年,後継者がいなくなった閑静な住宅地に,歯が抜けたように駐車場ができていく。法的に問題ないとはいえ,人が住む家の鼻先を車が出入りする。こうしたことから,私生活を監視されているとか,ここも駐車場にしようとして嫌がらせをして追い出そうとしている,と言った住人側の被害妄想に発展することもある。

これぐらいは良いだろうという感覚が,行動を前のめりにさせ,自分と何らかの関わりがある人への配慮が抜け落ちてしまうことは,よくあることだ。

一国の首相が,次期大統領に選ばれた人物に就任前に会いに行く。まだ任期中である現職の大統領へのリスペクトに欠ける行動だ。一般社会では,表敬訪問であれ,本来の仕事であれ,カウンターパート同士が会うのは,内示や人事異動速報がありさえすれば良いと言うものではない。正式に辞令交付を受け,引継ぎが終わり,名実ともに権限が移行してからのことだ。

リスペクトなき外交は,国としての信義に関わることだけに,失われるものが少なくない。

昨年10月18日,沖縄県高江で,ヘリパッド建設の反対運動をしている人たちに対して,若い機動隊員たちが「土人」「シナ人」という言葉を投げかける出来事があった。自分が「中央」にいて,「周りの人」は尊敬に値しない人間だという感覚から出た言葉であろう。ハラスメントやヘイトスピーチなど,あらゆる差別は,それぞれ異なる事情を抱えた他者へのリスペクトの欠如によるものに他ならない。

尊敬は,単に「尊敬する」とも言うが,「尊敬(敬意)を払う」とも言う。英語でもpay respectである。リスペクトは,普段から払うことを怠っていると,後に高い代償を払うことになりかねない。尊敬とは,他者の事情を配慮するという意図した努力によって成り立つことなのであろう。

(グリーフカウンセラー 精神科医)
2017・2・28


◆2017年2月12日 第103回 理事会開催◆


《審議事項》


第1号議案

新規事業「グリーフワークデー」に関する事項

花岡理事から,3月11日(土)11時から行われる標記キャンペーン活動のプラカード試作品が示され,これをモデルとして夛田副理事長が完成品を5,6部作成することが了承された。2月16日(木)18時30分から,当日配布のアウエアネス・リボンの作成を行うこと,チラシとアウエアネス・リボンは,県下の首長,県関係部局並びにマスコミ各社に送付すること,送付先リスト並びに趣旨文は理事長が作成することで了承された。

第2号議案

2016年度香川県自殺対策事業の実績見込みに関する事項

村上美智子理事から,2016年1月末現在の標記実施状況の説明があり,理事並びに会員が立て替えている経費については,3月末までに提出するよう指示があった。2017年度事業の申請は,今年度事業実績見込みを踏まえて行うことで了承された。

第3号議案

事務局体制に関する事項

事務局体制の強化について,理事長から求人をかけるに当たっての業務内容の説明が行われた。事務局業務に従事する職員については,以下の観点から,今後とも協議を続けていくことが確認された。①NPO法人マインドファースト等複数の関連NPO法人の共同出資で運営にあたる可能性。②理事の出資(貸付金等)により,当面の管理費を捻出する方法。③募金活動。④事務局の人材を事業に理解のある会員から求める方向。⑤事務局長となり得る人材の育成。⑥経理事務と相談関連事務(受理,調整等)の整理。

第4号議案

冊子「喪失の危機を克服するためのハンドブック」の改訂に関する事項

審議未了。

第5号議案

グリーフカウンセラー拡大会議と研修に関する事項

2016年度認定グリーフカウンセラー認定審査面接未了の者2名の面接を3月2日に行う。認定された者については,登録手続きの如何を問わず,3月19日のカウンセラー拡大会議への招集を呼びかける。なお,新規認定され登録を終了した者に対しては,4月20日(木)18時30分及び4月30日(日)13時30分から,実務者研修を行う。

第6号議案

2017年度定期総会の開催に関する事項

標記総会の開催を6月1日(木)19時から開催することで了承された。また,役員の任期の短縮規定を明記しておく必要があることから,定款第15条「任期等」の改訂を行うことで了承された。

第7号議案

高松市男女参画センター登録団体に関する事項

標記登録団体は,なお1年延長しておくことで了承された。


◆2017年2月19日 第53回 認定カウンセラー会議◆


【審議事項】

1. グリーフワークディについて

  • 3月11日(土)11:00集合,11:30から丸亀町壱番街ドーム広場にて街頭キャンペーンを行う。
  • テーマは「3月11日から16日は子どものグリーフワーク週間 子どもの声が聞こえますか」
  • プラカードを掲げて,視線を注いでくれた方に,チラシとアウェアネスリボン(ヴァイオレット・リボン)を配る。

2. 2017年度コーディネーター募集について

  • 現在の古澤コーディネーターが退任希望を申し出ているため,後継者を募集する。相談事業について理解している会員が望ましく,認定カウンセラー拡大会議でも公募する。

3. 2016年度実務者研修について

  • 2月,3月中に,スーパービジョンを行うこととする。

4. 認定カウンセラー拡大会議について

  • 3月19日(日)午前10時から12時に認定カウンセラー拡大会議を行こととし,今年度新たに認定されたグリーフカウンセラーを加え,認定カウンセラー全員に出席を呼びかける。
  • 新認カウンセラーを含め,実務者研修を4月20日(木)18:30~と4月30日(日)13:30~の2回,グリーフワークかがわ相談室で実施する。

【勉強会】


子どもの喪失と悲しみを癒すガイド

第2章「悲しみの神話」 担当者:上野美幸

子どもの喪失と悲しみに関して、長くの間信じられてきたが、実際は間違っている10の神話について取り上げた。それぞれの事例も交え、大人の考える子どもの喪失と悲しみと、その実際について討議した。いくつかの神話は子どもの喪失体験、悲嘆のプロセスを妨げるものとなりうるため、大人である私たちが気づいて取り上げていくことが大切ではないか、と話し合い第2章を終了とした。

次回、3月の認定カウンセラー拡大会議では、本文献について紹介するとともに勉強会について周知し、第3章の担当者を決めることとなった。