2017(平成29)年6月グリーフワークかがわ
ニュースレター第158号(HTML版)

2017(平成29)年7月10日 グリーフワークかがわ広報部

◆グリーフワークかがわへの思い◆


認定NPO法人グリーフワークかがわのホームページをご覧になられた皆様、ニュースレターを読んで下さった皆様本当にありがとうございます。この度、相談事業コーディネーター及び理事に就任致しました西山忠明と申します。

私がグリーフワークかがわと出会ったのは、産業カウンセラー養成講座にて花岡正憲先生の講義を受けた事がきっかけでした。そして認定カウンセラー養成講座を経て、晴れてグリーフワークかがわ認定カウンセラーとなりました。

共に学んだ同期の中には、養成講座募集のチラシに書いてある花岡先生の「喪失と悲嘆は人生の一部です。悲嘆とは愛を失うことではなく,失われたものを愛していたいという感情です。喪失を経験した後の人生に意義を見いだすために,この事実とどのように向きあえばよいか,具体的に学びたいと思います。」

という言葉に感銘を受けて参加された方もおられました。その方は特にこの言葉の前半部分に感銘を受けたそうで、奇遇にも私は後半部分に感銘を受けていました。同じグリーフワークとはいえ心に響くところは人それぞれと思いました。

私自身も子供の頃、大きな喪失を体験しています。小学生の頃に母親を失くし、その後父親も亡くしました。一人になった私は、「天国に行った両親が誇れるような人になろう」といつも心に秘めて頑張ってきました。花岡先生の言葉は「君は間違ってないよ」と、私がずっと心の底にしまっていた想いを認めてくれた…上手く言葉にはできませんが、心に湧き上がるものを確かに感じました。

相談事業コーディネーターとして、実際の相談現場に携わる認定カウンセラーの方たちの立場になって支えて行けるように、その事が相談に来られる方たちのグリーフワークに繋がるように、今度は私が悲しみを人知れず堪えている人たちを支えて行けるよう頑張っていきたいと思います。

そしていつの日か私が両親の元へ旅立った時、父からは頭を撫でて貰えるように、母からは「よく頑張ったね」と褒めて貰えるように、私を支えてくれた人たちに恩返しが出来るように日々精進してまいります。皆様どうぞ今後ともよろしくお願い致します。

グリーフカウンセラー 西山忠明


◆リビングwithグリーフ◆


「不安ビジネス」と笑い

花岡 正憲


『薔薇の名前』(イタリア原題:Il Nome della Rosa)は,キリスト教の歴史と「笑い」の関係について問題提起したウンベルト・エーコ(1932-2016)の知的冒険小説で,映画にもなっている。

1327年北イタリアのベネディクト修道院で奇怪な殺人事件が起きるところから,物語は始まる。特使としてこの修道院へやってきた修道士とその弟子は,犠牲者の指と舌が黒ずんでいたことから,一連の事件が図書館秘蔵のギリシャ語の本に関係があることを疑う。

やがて,この本の存在を認めることが庶民の中に笑いを認めることになるため,それを恐れた老修道士が,喜劇に関する書物のページに毒を塗っていたことを突きとめる。老修道士は告白する。「笑いは恐れをなくす。悪魔への恐れがなければ信仰は成り立たない」と。

中世ヨーロッパでは,笑いは悪徳とされ,特に修道院では笑ったものは異端審問にかけられるなど厳しく罰せられたと言う。笑いに関する本は,「人々が神の言葉に疑問を抱き始める」として禁書とされた。

古今東西,人々から笑いを奪う不安心理によって成り立っている仕事は少なくない。霊魂の罪の償いとして販売された免罪符は,言わば中世の宗教ビジネスであった。

霊感商法として行われる除霊,壺や美術品の販売は悪徳商法の一種であるが,先祖供養,地鎮祭,戒名など伝統的に認められている霊的ないし宗教的慣習との線引きが難しいことも事実であろう。

かつて,医療につくのは,自覚症状が出てからというのが相場であった。今日,予防医学の観点から,自覚症状の有無に関係なく精密検査を受けて異常や健康度などをチェックする健康診断が広く行われるようになっている。とりわけ人間ドックは,日本独自の発想である。

予防医学は,健康への願いを健康祈願ではなく,科学的合理性に基づいて実現を図ろうとする知の体系であるが,人々の不安心理によって成り立っていることには違いない。このところ,過剰診断や過剰治療がQOL(生活の質)を低下させてしまうことが問題になりつつある。人々がこうしたことに気づき,健診や早期治療のあり方にも疑問の目が向けられるようになっている。

4月29日早朝,北朝鮮のミサイル実験をうけて,東京メトロが全線で地下鉄を停止させた。過剰反応ではないかと波紋を呼んでいる。

今後はJアラートを判断基準にすることになったと言う。そのJアラートによる情報伝達では,弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合,まず弾道ミサイルが発射された旨の緊急情報が流れ,「屋外にいる場合は,近くの頑丈な建物や地下に避難して下さい。近くに建物がない場合は,物陰に身を隠すか,地面に伏せて頭部を守ってください」と避難を呼びかける。政府によるこうした「北朝鮮ミサイル危機」のCMがテレビで放送されている。

実際ミサイルが飛んできたら,そんな避難方法で安全が守れるはずはない。日々,ミサイル飛来の恐怖に国民を怯えさせるのではなく,外交努力をすることが政治の役割であろう。政権への求心力を高めるために,国民への啓発を建前にいたずらにミサイル危機を煽っているという批判があるのは,無理もないことである。

まことしやかに言われていたことが,「笑っちゃうね」となることはよくあることだ。とりわけ,情報社会では,情報によって人々をコントロールする側とコントロールされる側の間の垣根が低くなっている。「職業としての専門家」に対するいわゆる素人の評価は厳しく,求められるものも高度かつ限定的になってきている。専門家も,「笑っちゃうね」と笑い倒されそうになったとき,相手を非難したり,丁寧な説明を怠り超然と構えていて通用する時代ではない。

自戒を込めて言えば,専門家は,人をコントロールするために,事実に基づかない言説やオルタナティブ・ファクト(代替的事実)を拠りどころにしていないかどうか,日頃からの自己点検が欠かせない。

いつの時代も,宗教,医療,政治などが,笑い倒される場面がある。むしろ,そうした社会の方が,健全なのだろう。

(グリーフカウンセラー 精神科医)
2017・7・4



◆グリーフワークかがわ第13回社員総会が開催されました◆


特定非営利活動法人グリーフワークかがわ定款第23条に基づき第13回社員総会を開催しましたので,下記の通り報告いたします。

日 時:2017年6月1日(木)19時00分~20時45分
場 所:高松市総合福祉会館 第1会議室(高松市観光通2丁目8-20)
出 席:出席者14名 委任状出席21名

  1. 開会の辞
  2. 議長選出

    上野美幸理事から,正会員総数51名中,出席者14名,委任状提出者21名の報告があり,正会員総数の2分の1以上の出席者があるため定款第26条による定足数を満たすことが確認され,第13回社員総会は有効に成立する旨が宣言された。議長は,立候補により夛田敏恭が選出された。議長は,書記を上野美幸,議事録署名人を瀬尾憲正とローマ真由子に指名した。

  3. 議 事

    第1号議案

    2016年度事業報告

    杉山洋子理事長より2016年度の事業の実施状況について報告が行われた。

    第2号議案

    2016年度収支決算報告

    村上美智子理事より2016年度の収支決算について報告が行われた。

    第3号議案

    監査報告

    福岡啓治監事より監査報告が行われた。

    議長から第1号議案から第3号議案について一括質疑が求められたが質疑はなく,拍手多数により承認された。

    第4号議案

    2017年度事業計画案

    杉山理事長より2017年度の事業計画の説明が行われ,夛田副理事長より「平成29年度共同募金(平成30年度助成事業)テーマ募金」について説明が行われた。

    第5号議案

    2017年度収支予算案

    村上美智子理事より2017年度収支予算案の説明が行なわれた。

    議長から第4号並びに第5号議案について一括質疑を求めたところ,以下の修正と質問事項が挙げられ,修正及び質問に対する回答が行われた後,拍手多数により承認された。

    修正事項1: 第4号議案 2017年度収支予算書について,経常収益の2017年度予算額(B)正会員受取会費について会員数の拡大を見込み修正すること。2017年度予算額(B)受取寄付金について,広報活動を充実させることで一般寄附を積極的に募ることを目標として修正すること。それに伴い経常収益の収入合計を訂正する。

    質問1:共同募金の収入費目は募金になるのか助成金になるのか。2017年度予算書の「受取助成金 共同募金助成事業収入500.000」にテーマ募金は入っているのか。

    答弁1:テーマ募金での共同募金の収入は助成金となる。2017年度収支予算書における受取助成金共同募金助成事業収入は,平成28年度の共同募金の補助額となっているためテーマ募金は事業収入として含まれていない。(夛田副理事長,村上《美》理事)

    質問2:広報活動や寄付のお願いを効果的に行うため,理事だけではなく認定カウンセラー用の名刺テンプレートを作ってはどうか。また,その名刺に自分の個人的な肩書を記入して使用することは可能か。

    答弁2:今年度の予算で名刺を会員に提供することは難しく,HP会員のページを活用するなど方法を検討していく。寄附に関してはブロシュールも積極的に活用してほしい。(杉山理事長)

    第6号議案

    役員選出に関する事項

    定款第13条及び第15条の規定により役員選出を行うこととなり,杉山理事長から,植田夕香,岡谷幸子の2名の理事から退任の意向がある旨の報告があった。この後,杉山理事長から新理事候補として瀬尾憲正,ローマ真由子,西山忠明の事務局案が示され,重任の理事6名並びに重任の監事2名を合わせて就任の賛否を求めたところ,賛成多数で承認された。この後,杉山理事長から,退任2名の役員それぞれの在任中の貢献についての報告が行われ謝辞が述べられた。

    理事に選任された者は次のとおりで被選任者はその席上就任を承諾した。

    理事 杉山洋子(重任),夛田敏恭(重任),花岡正憲(重任),村上美智子(重任),村上典子(重任),上野美幸(重任),瀬尾憲正(新任),ローマ真由子(新任), 西山忠明(新任)

    監事 生駒学(重任),福岡啓治(重任)

    第7号議案

    定款変更

    杉山理事長より,定款第14章第15条「役員及び職員の任期」及び第9章第52条「公告の方法」について定款変更の理由と変更案について説明され,拍手多数により承認された。

◆2017年6月1日 第107回理事会◆


《審議事項》

第1号議案

理事長並びに副理事長選出に関する事項

定款第13条の4に従い,理事長並びに副理事長の選任が行われ,互選にて,理事長に杉山洋子,副理事長に夛田敏恭がそれぞれ選任され,被選定者は,席上ただちに就任を承諾した。


◆2017年6月11日 第108回理事会◆


《審議事項》

第1号議案

2017年度役員の役割分担に関する事項

2017年度事業計画に沿って,各事業について主担当と各実施担当者を決定した。

第2号議案

2017年度グリーフカウンセラー養成講座・基礎コースに関する事項

6月8日(木)に第1回講師会が開催され,主担当花岡理事を中心としてチラシ原稿の検討と役割分担を決定した。チラシの最終原稿を作成後,2,000部を発注し7月16日(日)に発送準備作業,8月10日(木)に第2回講師会を予定としていることが確認された。

第3号議案

モデル事業『喪失を経験した子どもの親・保護者グループ』に関する事項

主担当理事と担当理事を中心に,6月22日(木)予定のワーキンググループで具体的に決定していくことで了承された。

第4号議案

グリーフカウンセラー認定委員に関する事項

本年度のグリーフカウンセラー認定委員が決定となり,7月理事会後に第一回認定委員会を開催予定とすることで了承された。

第5号議案

認定カウンセラー資格継続に関する事項

現在は認定カウンセラー資格認定後の更新について規定するものがなく,カウンセラーとしての質を保つために更新規則や退会規則について、今後認定カウンセラー会議においても会員の意見を集約していくことで了承された。

第6号議案

社員の名刺作成に関する事項

既存の役員の名刺のデザインをベースにして,カウンセラー,会員の名刺の原稿を作成し,ホームページにテンプレートを掲載することで了承された。



◆2017年6月18日 第57回 認定カウンセラー会議◆


【連絡事項】

西山コーディネーターから、ホットラインかがわの担当が出来る方は是非積極的に連絡を、との伝言があった。


【議題】

  1. 認定カウンセラー資格更新制度について、規定により、退会後は認定資格が失効する点を再確認した。
    • カウンセラーの一定の質を確保するためにも、何等かの更新制度が必要という意見が出、今後認定カウンセラー会議でも制度についても意見を求めて行く。
    • 更新制度についてのワーキンググループの立ち上げを理事会で検討する。
  2. 会員の名刺について
    • 理事用の名刺デザインをベースに、GWKのHPにテンプレートとして掲載する事を検討する。
    • ダウンロードについては認定カウンセラーとして認定されている間に限り、各個人が行い用紙等の印刷については各個人負担とする。テンプレート掲載時には理事長からメーリングにて会員へ連絡する。
  3. 今年度の実務者研修について
    • 昨年度と同じくスーパービジョン中心での研修とするが、担当者を決めて欲しいという要望があった。
    • 継続的に実務者研修に参加できるよう、年間計画を立てる必要があり、その為にはスーパービジョン及び、現在実質理事長が周知している他団体の講習や、外部からのイベント等をまとめて周知する担当が必要との意見となった。


【勉強会】


子どもの喪失と悲しみを癒すガイド

第3章「悲しみを乗り越える4つの心理的課題」 担当者:瀬尾憲正


ビアジェの発達段階に沿って0-2歳、2-7歳、7-12歳、13歳以上と4つに分けられたそれぞれの時期において、子どもはどのように【死】を受け止めているのかを確認した。

また、子どもにおいても、大人同様に悲しみの4段階(①ショックと信じられない気持ち ②混乱と絶望 ③意味を追求 ④懐かしく思う、立ち直りと癒し)があり、思い出作り」としての実例の紹介があり、それらの行動は楽しい活動によって前に進むようにすることであり、再び人生に参加するための準備でもあると確認した。

子どもの成績が急に落ちた場合、何らかのグリーフを抱えている場合が多いが、日本の学校では子どものバックグラウンドを詳細に把握していないため(養護学校についてはその限りでもない)子どものグリーフに気づきにくく、また逆に子どもを更に傷付けてしまう場合もある、等話し合い第3章を終了とした。

次回認定カウンセラー会議(7月16日)では第4章についてローマ真由子が担当する事となった。