2018(平成30)年4月グリーフワークかがわ
ニュースレター第168号(HTML版)

2018(平成30)年5月10日 グリーフワークかがわ広報部

◆テーマ募金にご協力ありがとうございました◆


2017年度テーマ募金へのご協力ありがとうございました。
最終募金総額は380,940円になりました。


香川県共同募金会の平成29年度テーマ募金に参加し,「大切な人をなくした子どもの悲しみを支援するためのプロジェクト」をテーマとして掲げて2018年1月1日から3月31日まで募金活動を行いました。

目標額300,000円としておりましたところ,最終募金総額は380,940円に達しました。


私たちの掲げたテーマにご賛同いただき,ご支援をいただきましたことを感謝申し上げます。

近年,喪失を経験したときの悲しみを支える活動は広がってきていますが,悲しみを抱えた子どもたちへの理解は,まだ十分とは言えません。

このたびいただきましたご寄付は,子どもたちの悲しみを理解し,受け止め,支える地域づくりのために,相談活動,啓発活動に使わせていただきます。


子どもたち一人ひとりが,伸びやかに可能性を伸ばしていける環境づくりに貢献できるよう,活動を続けていく所存です。


2018年度も,同様のご金活動を行う予定です。引き続きご支援をよろしくお願いします。

2018年4月

認定NPO法人グリーフワークかがわ

理事長 杉山洋子



◆認定カウンセラー実務者事前研修を行いました◆


4月26日と4月29日に実務者事前研修を行いました。

毎年,現任の認定カウンセラーと新規に登録したカウンセラーを対象に行っているものです。

今回も相談事業の実施要領,対応マニュアルを確認し質疑を行いました。講師は,それぞれ相談事業を行っている現任の認定カウンセラー4名が担当し,受講者は4月26日は5名,4月29日は4名でした。

対面型個別相談,グループミーティング,電話カウンセリングという相談支援事業を継続していくうえで,今後も実務者研修は年間を通して継続的に行ってまいります。

(認定NPO法人グリーフワークかがわ 理事長 杉山洋子)



◆リビングwithグリーフ◆


セクハラ社会~問われる他者の体験への想像力~

花岡 正憲


テレビ朝日の女性記者が,財務省の財務事務次官への取材の過程でセクハラを受けた。上司に相談したが,適切な対応がなかっために,録音した相手との会話を週刊誌に持ち込み取材を受けて発覚した。思い余ってのことだろう。

これに対して,麻生太郎財務大臣は4月17日,「被害にあった女性が名乗り出ない限りセクハラの事実の認定はできない」と居直った。

19日,テレビ朝日の抗議文を受けて,財務省の矢野康治官房長は,「(名乗り出ることは)そんなに苦痛なことなのか」と答弁している。また,下村博文元文科相は講演会で「隠しテープでとっておいて,週刊誌に売ることは,ある意味で犯罪だと思う」と述べた。

その後麻生財務大臣は,「(女性記者に)はめられたという話もある」「セクハラ罪という罪はない。殺人とか強制わいせつとは違う」と発言した。

財務省のセクハラへの認識はあまりにもずれている。殺人や強制わいせつとは違うとまで言うのは暴言である。

当の事務次官は「抱きしめていい?」「胸触ってあげる」「縛っていい?」「キスをしたいという気持ちが同時に沸き起こっている」など,あらためて言葉にするのも憚る発言をしているにもかかわらず,単なる「言葉遊び」だったと釈明している。女性記者は,「そういうのやめてください」と何度も訴えている。執拗さという点でも,セクハラの域を越えた言葉によるわいせつ行為であろう。

厚労省による2016年の調査では,フルタイムもしくはパートタイムで働く日本人女性の30%が職場においてセクハラを受けていると回答している。被害者のうち60%以上が我慢し,同僚や上司にも相談できず,悩み抜いている人が少なくない。セクハラの内容は,「体形や容姿を指摘された」が44.9%,「性的冗談や質問を受けた」が44.5%,「体を触られた」が41.3%となっている。

多感で傷つきやすい思春期は,「女らしい体つきになったね」の男性の一言がきっかけで,女性を見る社会の目に対する不信感から,拒食症になることだってある。

今回の財務省関係者の発言は,被害者心理を委縮させ,結果的にハラスメントを助長しかねない。当の女性記者にとってはセカンドハラスメントになっているという加害性に気づいていない。

こうした二次被害も深刻な問題である。性犯罪被害者に対しては,女性からも「あなたにもスキがあったんじゃないの」といった言葉が投げかけられがちだ。傷ついた人にとっては,傷口に塩をすりこまれる思いであろう。被害者でありながら自分を責めてしまうこともあろう。人としての尊厳が傷つけられたとき,その体験を語ると,さらに傷つき,失われてしまうものがある。相談できず,我慢してしまう背景には,こうした事情があることは否めない。

セクハラ問題をとおして見えてくるのは,私たちの社会の他者の体験を追体験しようとする想像力の欠如に他ならない。人は自分が体験していないことは想像できないわけではない。他者の信条,感情,願望,意図などを理解し感じとろうと努力すること,そうすることで想像力を膨らませてみることが大切だ。


(グリーフカウンセラー 精神科医)
2018・5・6



◆2018年4月8日 第118回理事会◆


《審議事項》

第1号議案

2017年度事業報告と2018年度事業計画案に関する事項

2017年度事業報告並びに収支決算の見込みについて報告し,2018年度事業計画並びに予算案について審議を行なった。今後監査を受け,6月の総会にて報告予定とする。尚,本年度総会は6月10日(日)に行う。

第2号議案

筑波大学大学院生からの研究協力依頼に関する事項

筑波大学大学院生から研究への協力依頼があった。依頼文,関係資料,先方との電話とメールの連絡内容をもとに受諾するかどうか審議を行なった結果,受諾は却下することで承認された。



◆2018年4月15日 第66回 認定カウンセラー会議◆


【議題】

  • カウンセリングの現場での状況報告と課題について
     ひまわりミーティングは,昨年度はモデル事業であったが,本年度より本事業とし,ワーキンググループを離れて認定カウンセラー会議にて運営について審議していく方針とする。
  • 相談事業の助成金について
     相談事業について,「グリーフカウンセリング」、「グリーフカウンセリング」、「自殺ホットラインかがわ」は香川県地域自殺対策強化事業費補助金,「身近な人をなくした方のグループミーティング」と「ひまわりミーティング」は香川県共同募金からの助成を受けていることの説明があった。
  • 実務者事前研修について
     実務者事前研修(4月26日,4月29日)の準備についての確認があった。


【勉強会】


花岡会員から,5月から使用する下記文献の輪読にあたり留意することについて解説があった。

  • 5月から使用する文献:『子どもの悲しみによりそう・喪失体験の適切なサポート法』ジョン・ジェームス,ラッセル・フリードマン,レスリー・ランドン著 水澤都加佐,黒岩久美子訳 2014年 大月書店

解説の概要:

喪失には,明らかな喪失と隠れた喪失がある。明らかな喪失とは,死別や離婚,精神的・身体的健康問題,家庭の経済事情の変化などである。一方,隠れた喪失とは,信用の喪失,安全性の喪失,精神のコントロールの喪失などがあげられる。隠れた喪失は,子どもたちに影響を与えてはいるが,一般的ではない喪失である。そのため,当人や家族など関係者に気づかれることなく過ぎて行き,子どもの成長過程に影響を及ぼし,大人になってからセラピーを受けたりセルフチェックをしたりすることで,気づかれたり,顕在化したりすることがある。そのため,家庭や学校で気になる子どもの言動が見られたとき,その背景に隠された喪失が存在するかも知れないことを念頭に置いて支援に当たることが求められる。

〔この隠れた喪失については,小学校入学前に父親を自殺で亡くした26歳の男性と小学校2年のとき両親が離婚した中学2年の男子学生のケースを踏まえ,具体的な解説が行われた。〕

また,喪失には,「未完の感情」を伴うことがある。未完の感情とは,人が喪失を経験した時,例えば「喪失がなければ,今頃は違った結果になっていたはずだ」「こうしたより良いやり方を知っていたら,失うものはなかったのではないか」「失われる前に,もっとこんなことをしておきたかった」といった感情である。喪失には,こうした感情を伴うものであることを当然として受けとめ,支援をして行くことが大切である。