2018(平成30)年8月グリーフワークかがわ
ニュースレター第172号(HTML版)
2018(平成30)年9月11日 グリーフワークかがわ広報部
◆グリーフワークかがわ会員からのメッセージ◆
「グリーフワークかがわへの想い」
「喪失体験」という言葉をキーワードに自分自身の人生を振り返ってみると、実にさまざまな喪失が人生に起こっていたことに気づきました。わたしにとって、最も大きな喪失体験は「離婚」と「父の死」です。
離婚の際は離婚が成立すれば感じると期待していた爽快感や達成感はあまりなく、残ったのは大きな脱力感と喪失感でした。闘病中の父の死は遠からず訪れるものとして私の中で位置づけされていたので、死生観について学んだり自分なりに準備をしていました。それが喪失前の自分のグリーフケアになったのでしょうか。父を見送った後の自分自身は大きく落ち込んだり、身体に不調が出たりということはなく、比較的グリーフも軽かったように感じました。
ふたつの喪失体験に対しての自分自身の感じ方が全く違うことに驚きました。グリーフケアについて、もっと深く学んで自分のグリーフを客観的に見つめなおしてみたい。より質の高いグリーフケアを仕事で提供したい。自分の周りで喪失体験をした人により適切なグリーフケアができるようになりたい。そんな気持ちが湧いてきました。
幸運にも、「グリーフワークかがわ」主催のグリーフカウンセラー養成講座を受講する機会をいただきました。
グリーフカウンセラー養成講座は、精神科医、臨床心理士、在宅医療の専門医など、素晴らしい先生方の座学に加え、ロールプレイングの実習の時間もたくさん設けられていました。他の受講生の受け答えや仕草を観察することは、自分自身の傾聴の姿勢を振り返ることにとても役立ちました。
また、グリーフワークかがわでは、月に1回勉強会を開催しています。今年度の教材文献は「子どもの悲しみによりそう・喪失体験の適切なサポート法」ですが、この本が現在の私にとってとても助けになっています。つい最近、息子が大切な親友を突然亡くしました。色々な事情から親友の死を知らされたのは葬儀も済んだ後のことでした。息子は大きなグリーフと未完の感情を抱えました。わたしは今、本の中の「未完の感情」の部分を何度も読み返し、息子のグリーフに寄り添っています。
グリーフケアについて学ぶことは、たとえグリーフカウンセラーにならなくても自分の周りの大切な人のグリーフケアに役立つと思っています。そのような意味から、「グリーフワークかがわ」の存在意義はとても大きく、沢山の人にその活動を知っていただきたいと願っています。
グリーフカウンセラー 小坂 久美子
~三豊市自殺対策計画策定委員会についての報告事項~
8月2日に三豊市役所で開催された、第1回三豊市自殺対策計画策定委員会において策定委員に委嘱されました。
香川県、高松市と同様に、国の大綱を受けての対策計画であるため概ね計画は同様でが、三豊市ではアクションを起こしいました。市民に対し自殺に対する、事業所に対しメンタルヘルスに対する取り組みについて、各種団体に対し自殺対策に対する取り組みについての三種類のアンケートを実施します。詳細は未定の部分もありますが、概ね草案のまま実施予定です。今回の会議で、少しの手直し案も出ましたので、より良いものとなるでしょうが、初の試みですので問題や色々な反響が出ると思われます。しかし、いい意味での波紋となることと考えて、行動に移したことは高く評価できることとの声もあり、今後の動向が楽しみです。
三豊市では、今後も色々な取り組みを考えているようで、その中にGWKも参加していくことで、よりグリーフに対する認知を高める切っ掛けになるのではないでしょうか。各種講習会の共 催や、行政や他団体主催の講習会の前後でグリーフを語る機会や、公開セミナーの共催などで活 動を密にし、実績を上げていくことも重要と考えました。また、GWKでは講習会、講演会に対 応する準備も早急に取り組む必要性を感じました。
単独開催や活動も大切ですが、行政や他団体との共存、連帯、後援も大事だと考え、アクティブな三豊市に今後も大きな期待を持っていきたいと考えます。
グリーフワークかがわ副理事長 夛田敏恭
◆リビングwithグリーフ◆
「スポーツボランティア」とは何か
花岡 正憲
2020年の東京オリンピック・パラリンピックで必要とされるボランティアは,延べ10万人とも11万人とも言われる。スポーツ庁と文部科学省は,東京五輪のボランティア活動に学生の参加を促すために,全国の大学と高等専門学校に対し,7月24日から9月6日までの大会期間中,授業をしないように求める通知を出した。
競技会場での運営サポートなどを行う大会ボランティアは,10日以上の参加を基本としたうえで,活動時間を1日8時間程度としている。しかし,事前研修も含め,宿泊先の確保や費用は自己負担で,会場までの交通費も一定程度しか出ない。
ボランティアの仕事は,専門家や行政の支援の「すき間」に落ち込んでしまう社会課題に取り組むところに意義があるとも言える。山口県周防大島町で行方がわからなくなっていた2歳の男児が,捜索に加わったボランティア尾畠春夫さんに発見され,8月15日無事家族のもとへ帰った。
2日がかりで警察が捜索したが見つからず,尾畠さんが男児の名前を呼びながら山中に入ったところ,「ぼく,ここ」と男児が返答した。
ボランティアが見つけたのは偶然だという意見もあるが,警察が警杖(けいじょう)などを使って藪を掻き分ける遺留品捜査の手法ではなしえなかったことであろう。生活者目線の血の通った捜索という必然がもたらした偶然と言えよう。
東京オリンピック・パラリンピックを開催するための経費は大幅に増え,現時点で約2兆1600億円に達すると言われる。組織委員会の役員報酬は,最高数千万円に上る。こうした中で,オリンピック・パラリンピックは,どうしても起きてしまうすき間へのボランティアの対応ではなく,はじめからボランティアという人的資源を当て込んで予算上の大きな穴を開けている。ボランティアは,安上がりだから利用すると言うのなら大間違いだ。
ボランティアは,専門家や公的サービスの下請けでもない。当たり前の生活が脅かされたり,不利益をこうむりがちな市民の問題に同じ市民が関わって行くと言う点で,生活者のリアリズムに根ざした,自発性,任意性を大切にした活動である。新たな地域社会づくりに求められる先駆性やボランティアだからこそできるという専門性もある。
オリンピック・パラリンピックと言う世紀の大イベントに呼びかけられ,ボランティアとして参加するのは,ボランティア理念からはほど遠いものだろう。スポーツボランティアが専門と称する学者までが,やり甲斐があることだ,わが国にボランティアが根づいて行くきっかけになるなどだと旗振り役に回る。「やりがい搾取」だ「学徒動員」などと批判を受けるのも無理からぬことだ。
わが国のボランティアに対する理解は遅れている。環境問題,災害救助,子育て支援,障害者支援,マイノリティ問題など,若い世代がボランティアとして関わって行ける課題は少なくない。地域社会の身近なテーマに取り組みやすくするために,ボランティア休暇を制度化する。これこそ働き方改革であろう。
オリンピックという「ハレ」が「ケ」の営みにもたらす負の側面に目を向けておくことも欠かせない。大半が私たちの税金からなる大会運営費については,無駄遣いや不正経理がないかどうか,情報開示請求などによってチェックするオンブズマン活動も大切だ。こうしたところにもボランティアしかなしえない役割がある。
(グリーフカウンセラー 精神科医)
2018・8・31
報告
◆2018年8月12日 第122回理事会◆
《審議事項》
第1号議案
2018年度グリーフカウンセラー養成講座・基礎コースに関する事項
7月29日にチラシの発送が完したことの報告があった。受講料の振込に関して,申し込み受理状受け取り後一週間以内の振込を依頼し受講決定を確認すること,追加募集となった場合には速やかに振り込みを依頼し受講決定を確認することで了承された。第2回養成講座企画会議は8月19日(日)14:00から高松男女参画センター学習室で開催する。
第2号議案
会計担当との雇用契約に関する事項
理事長から契約書作成について準備中であるとの説明があり,123回理事会で審議する事となった。契約書の様式,記載内容については,引き続き情報を収集中である。「労働契約」にするかあるいは「委託契約」として業務内容を示してそれに伴う旅費を支払う方法とするかを検討する必要がある。来月以降引き続き審議する事で了承された。
第3号議案
新冊子発行に関する事項
理事長から担当者会議(8月4日)の報告があった。冊子のタイトルについて著者の意向が説明され,理事会にて「喪失と悲嘆のためのガイドブック ~暮らしのなかのグリーフワーク~」とする事で了承された。冊子にグリーフワークかがわのロゴを入れることについて,GWKの説明のページに入れるという事で承認された。
第4号議案
ブロシュールの発送に関する事項
2012年に関係機関に持参したリストを基に,持参する提案があり,特に「ひまわりミーティング」の周知を広げるために,関係機関の情報を収集しリストを作成することで了承された。また,送付するための準備作業については,認定カウンセラー会議で案内する事となった。
第5号議案
自殺予防週間に係る活動に関する事項
9月10日(月)の香川県障害福祉課が主宰する街頭キャンペーンでGWKのブロシュール等を配布できるとの報告があり,次回認定カウンセラー会議で参加可能な会員を募集する事で了承された。各連絡については理事長が行う。
第6号議案
2018年度グリーフカウンセラー認定委員会に関する事項
理事長から認定委員選出について提案があり,青井恵子会員,上野美幸理事,瀬尾憲正理事,花岡正憲理事,西山忠明理事,村上美智子理事,村上典子理事とすること。第1回認定委員会会議は9月13日(木)19:00からGWK相談室で行うことで了承された。
第7号議案
2018年度公開セミナーに関する事項
理事長から戸部幸与氏を主担当,西山忠明理事を副担当とする推薦があり承認された。
第8号議案
ひまわりミーティングのチラシ(下半期)の印刷に関する事項
上半期と同じデザインで,日程を確認し掲載することで承認された。発注等手配はローマ理事が行う。
第9号議案
2018高松市男女共同参画市民フェスティバルに関する事項
本年度の四国公衆衛生学会でのチラシを兼ねて制作する事で了承された。市民フェスティバル参加の際の提出予算についても紙代500円,コピー代500円で承認された。市民フェスティバルについては引き続きローマ理事が担当する。
第10号議案
会計専用のパソコン購入に関する事項
会計専用パソコンの購入についてAIYAシステムと協議を行い助言も受けて,当初の予算よりオーバーとなるが購入することで承認された。
◆2018年8月19日 第70回 認定カウンセラー会議◆
- 自殺予防キャンペーンについて
平成30年9月10日11時30分より丸亀町商店街ドーム下において、香川県とグリーフワークかがわの協働で自殺予防キャンペーンに参加する。ブロシュール5種と寄付のお願いのブロシュール、ひまわりミーティングのちらしを50部準備する。 - ブロシュールの発送作業について
GWK事業ブロシュール一式(5種)と、ひまわりミーティングのチラシを加えて発送する。 - ブロシュールの持参について
持参先について、事務局中心に案をつくる。リストが出来次第、持参及び説明できる会員に協力をお願いする。
【勉強会】
担当:青井恵子
使用文献:
「子どもの悲しみによりそう・喪失体験の適切なサポート法」
ジョン・ジェームス、ラッセル・フリードマン、レスリ―・ランドン著
水澤都加佐、黒岩久美子訳
2014年大月書店
解説の概要:
パート3 未完から完結の道 第12章~第15章
テキストに沿って、完結とは何か、未完の感情とは何か、について理解し、私たちは子どものそのままの感情を受け止め、すべての感情を表現する安全性をつくり出すことで子どもの関係性の見直しを助けることが大切なことを学ぶ。
15章にそのための情緒的エネルギーのチエックリストが掲載されている。