2019年(令和元年)7月グリーフワークかがわ
ニュースレター第183号(HTML版)

2019年(令和元年)8月3日 グリーフワークかがわ広報部

~グリーフワークとの出会い~


今年度からグリーフワークかがわの認定カウンセラーとしてお世話になります、松岡紗智子と申します。

私は昨年まで臨床心理士の受験資格取得のため、実習の一環としてカウンセリングを行っていました。そこで担当させていただいていたクライエントさんとの関わりが、グリーフワークかがわを知った大きなきっかけとなりました。

そのクライエントさんのテーマは死別のグリーフでした。大きな喪失を経験し、年月が経った現在でも深い悲しみの中にいらっしゃいました。私はクライエントさんが少しでも前向きになれるように支援できればと思い、関わっていました。しかし、面接ではいつもクライエントさんの深い悲しみに圧倒され、何も力になれていないのではないかと大きな無力感を感じていました。一体自分にできることは何なのだろうと悩んでいた中で、講座の案内を目にし、参加を決意しました。

講座では様々な場面設定のロールプレイを体験したり、グリーフに対する考えや支援の形を学びました。その中で、自分自身がグリーフへのマイナスなイメージを持っていたことに気が付きました。そのため、どうにかして担当しているクライエントさんが前向きになるように、変化させようとしていたのだと思います。喪失に対する悲しみや戸惑いを安易な言葉で取り繕うのではなく、相手の方の揺れ動く気持ちを感じようとする姿勢や、言葉のやりとりがなくても同じ時間を共有する大切さを学びました。

その後の面接では、クライエントさんとの面接で生じる無力感ややりきれなさも含めてクライエントさんの大切な思いだと感じられるようになりました。私が学校を卒業したことで担当は終わることとなりましたが、多くのことを学ばせていただきました。

今後、心理的な支援に携わる中で、様々な喪失を抱えた方と出会うと思います。また自分自身も色々な喪失を経験していくのだろうと思っています。自分の価値観だけに左右されないよう、今後もグリーフに対する理解を深めていければと考えています。

そして、グリーフワークかがわの皆さまとともに少しでも活動のお力になれればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

認定グリーフカウンセラー 松岡紗智子



◆2019年度グリーフカウンセラー養成講座・基礎コース開催のお知らせ◆


  • 催:認定特定非営利活動法人グリーフワークかがわ
  • 日:2019年9月26日開講  10月31日最終回
    毎木曜日 18:30~20:30 6回シリーズ
  • 場:サンポートホール高松 51会議室
    高松市サンポート2番1号 TEL 087-825-5000
  • 受講対象:本講座は,地域でグリーフカウンセリングという視点で相談援助等の実務(プラクティス)を行う方を対象とします。資格・経験の有無は問いませんが,全課程出席可能な方。受講修了者は,ご希望があれば,一定の条件のもとにグリーフワークかがわでの相談業務を行うことも可能です。
    治療を目的としたものではありません。大切な方を亡くされて12か月を経過していない方は,別のプログラムをご利用されることをおすすめします。
  • 募集定員:12名 (申し込み多数の場合は先着順とさせていただきます。)
  • 申込方法・詳細はホームページをご覧下さい
  • https://www.griefwork.jp/
講座スケジュール(毎回 18:00開場 18:30開始 20:30終了)
開催日 テーマと
講師
ねらい
9月26日(木)
18:30~20:30
・喪失体験
・悲哀と悲嘆
池島邦夫
・受講者自身の喪失体験を通して喪失を定義づけ,その特徴について理解を深める。
・グリーフを「大切な人との別れ」という視点から,共感的に悲哀と悲嘆を定義づける。
10月3日(木)
18:30~20:30
・家族の死
ローマ真由子
・故人の果たしていた役割を理解し,喪失による心の危機からの回復過程について学ぶ。
10月10日(木)
18:30~20:30
・子どものグリーフワーク
上野美幸
・子どもの発達段階に沿ったグリーフの特徴について理解し,そのケアについて学ぶ。
10月17日(木)
18:30~20:30
・自殺予防
夛田敏恭
・自殺に対する理解と自殺企図者への対応を学ぶ。
10月24日(木)
18:30~20:30
・末期がん患者の看取りと喪失
瀬尾憲正
・予想される死に対する自己の喪失と看取りについて学ぶ。
10月31日(木)
18:30~20:30
グリーフカウンセリングの終結
カウンセラー自身の悲哀
池島邦夫
・グリーフカウンセリングの意義を再認識するとともに,悲哀の完了について学ぶ。
カウンセラーの限界とコラボレーション(職種間の協働)の重要性について学ぶ。
講座スケジュールの順序が変わることがあります。あらかじめご承知おきください。





◆リビングwithグリーフ◆


高齢ドライバー

花岡 正憲


「免許を返上する高齢者が増えて困っています」 少子高齢化の時代に,若者は車を持とうとしない。高齢者は免許証返上で車離れしていく。最近耳にしたある車のディーラーの嘆きである。

4月19日,東京池袋で乗用車が暴走し母子2人が死亡した事故以降,高齢者の運転免許証の自主返納が急増していると言う。あいつぐ高齢ドライバーの事故報道で,不安に駆られ返納した人や家族にすすめられ返上した人たちは,少なくないだろう。

ニュースやワイドショーなどで過熱気味に取り上げられたアクセルとブレーキの踏み間違い報道は,このところやや鎮静化している。深追いするとパンドラの箱を開けることになる。関係者がそう感じ始めたのだろうか。

アクセルペダルには,「吊り下げ式」と「オルガン式」の2種類があることは意外と知られていない。吊り下げ式では,つま先でペダルコントロールを行うので,慣れていないとアクセルとブレーキを踏み間違える人もいるが,オルガン式では踵までつけてペダルを踏むので,アクセルとブレーキの踏み間違えが起きにくいとされる。オルガン式は,フロアに支点を持つので,フロアマットがひっかかることもない。吊り下げ式に比べてコストもかかるため,日本車全体としては,オルガン式ペダルは,一部に採用されているのが現状だと言う。車によっては,アクセルペダルとブレーキペダルの間隔が狭いものもある。後付けの誤発進防止装置が開発されていることは,既存のペダルの構造では,人間工学的にみて事故やミスが起こりやすいと言うことだ。

マスメディアがこうしたアングルで報道しないのは,コマーシャルの大手スポンサーに忖度しているのではないかと勘ぐりたくなる。メーカーが車種を明らかにした検証結果を公表することなく,欠陥ペダルを改良するようなことがあるとすれば,許されることではない。欠陥ペダルによって起きた事故への責任を曖昧にする企業体質を温存しかねない。「高齢者はアクセルとブレーキを踏み間違いやすい」ではなく,「踏み間違いやすいアクセルとブレーキがある」という視点を忘れてはならないだろう。

地域社会において,ある特性を有する人が,ある種の問題や事件を起こしやすいと言う報道のされ方は,これまでにもあった。かつて精神障害者は,犯罪率が高いとされたが,一般の犯罪率よりも低いことが,統計学的に証明されている。「自殺者の多くがうつ病を患っている。したがって自殺対策はうつ病の早期診断・早期治療が大切だ」という命題も,今日破綻しつつある。「自殺に追い込まれる生き辛い社会環境がある」がより正しい。

現政権が示した「骨太の方針」は,「高齢者はもっと働け」だ。高齢者自身も約8割が70歳以降も収入のある働き方を望んでいる。とは言え,年金支給年齢の引き上げのために高齢になっても生産性を強いられ,一方,車に乗れば危険視され肩身が狭い思いをする。高齢者がこうした社会環境に置かれるのであれば,これはエイジズム(年齢差別)に他ならない。

アクセルとブレーキの踏み間違いだけでない。事故直後の混乱した運転操作や逆走も,報道の仕方によっては,高齢によるものとの印象を与えてしまう。事故直後は,加害者も混乱する。例えば,事故現場から急いで離れたくなる心理は,高齢者に限ったことではない。逆走の原因については,進入路の分かりにくさも指摘されている。高齢ゆえに起きたと言う予断をもたずに,個々の検証が必要だ。

社会参加を続けたいが,車を運転する上での不安や困難が大きくなる。しかし,地域によっては免許証を返納してしまうと移動手段が制限される。免許更新のさいの高齢者講習や認知機能検査の見直しに加え,運転できる時間や場所を制限する限定条件付き免許制度などの導入も課題であろう。暦年齢だけで高齢ドライバーを敬遠したり,危険視したりするのではなく,実証に基づく根拠と運転弱者への合理的配慮の両面から対応が求められる。


(グリーフカウンセラー 精神科医)
2019・7・20




◆2019年7月18日 第135回理事会◆


《審議事項》

第1号議案

会計担当事務局員に関する事項

会計担当候補者との面接について理事長と村上理事から報告があり,概ね1月間の試用期間を設け,経理事務内容と作業手順の説明並びに習得を行うことで了承された。

第2号議案

2019年度グリーフカウンセラー養成講座・基礎コースに関する事項

第1回講師会の報告があり,これを踏まえて,チラシ印刷部数,発送個所数,発送準備作業の日程と,第2回講師会を8月8日に行うことが決定した。

第3号議案

技術援助事業としての高松市窓口担当職員自殺予防対策研修会(仮称)への講師派遣依頼に関する事項

高松市保健センターから自殺対策推進事業の一環として開催する研修会(対象は市役所で勤務する保健師及び窓口対応する職員)への講師派遣依頼があった。専門職を対象としたグリーフワークに関する研修会であることから,ピアとしての経験を語れる認定カウンセラー並びにグループワークを行なう認定カウンセラーを派遣することで了承された。

第4号議案

技術援助事業に関する事項

以下の講師派遣依頼について,講師を派遣することが了承された。

①事業名:介護予防ボランティア養成講座
日時:2019年10月30日(水),講義内容:グリーフケア/傾聴の基本
派遣講師:杉山洋子,ローマ真由子
②事業名:令和元年度自殺対策相談窓口担当者研修会
日時:2019年8月20日(火),講義内容:ゲートキーパーの役割
派遣講師:杉山洋子,ローマ真由子
③事業名:ゲートキーパー研修
日時:2019年10月29日(火),講義内容:自殺予防
派遣講師:夛田敏恭,ローマ真由子
④事業名:ゲートキーパー研修
日時:2019年9月6日(金)講義内容:自殺予防
派遣講師:夛田敏恭,ローマ真由子

第5号議案

「アドバンスコース(仮称)」に関する事項

審議未了。

第6号議案

NPO法人取得10周年記念事業に関する事項

事業内容は,シンポジウムと記念誌の発行を予定。標記第1回実行委員会を8月29日に「ミライエ(予定)」において開催すること,理事長が会員へ呼びかけることで了承された。

第7号議案

2019年度実務者研修に関する事項

第80回認定カウンセラー会議からの提案により実施要領案(案)を理事長が作成,説明が行われた。研修方式については,その都度定めることで一部修正が行われ,承認された。

第8号議案

自殺予防土曜ホットラインかがわの事例検討に関する事項

第79回,第80回認定カウンセラー会議からの提案があった標記実施要領(案)については,2019年度実務者研修実施要領(第7号議案で審議済み)の中で対応することで了承された。

第9号議案

2019年度高松市男女共同参画フェスティバルに関する事項

パネル展に参加することで了承された。




◆2019年7月21日 第81回認定カウンセラー会議◆


  1. 各相談事業の報告
     6月の相談事業について現状報告があり,対応の課題について話し合った。
  2. 実務者研修について
     第135回理事会において決定した2019年度実務者研修実施要領が示され,今後,コーディネーターが調整していく。
  3. ひまわりミーティングの周知方法について
     チラシ,ホームページをはじめ広報の方法について協議を行った。


【勉強会】


担当:杉山
「GWKの倫理規定」について

次回は倫理綱領の第1条から第4条までを扱う。