2019年(令和元年)8月グリーフワークかがわ
ニュースレター第184号(HTML版)

2019年(令和元年)9月8日 グリーフワークかがわ広報部

「令和元年度自殺対策相談窓口担当者研修会に出席して」


先日、8月20日(火) に令和元年度自殺対策相談窓口担当者研修会(於:香川県社会福祉総合センター)のアシスタント講師として出席する機会に恵まれました。研修会では杉山理事長が「自殺予防 ―私たちにできること―」というテーマの元、県内各機関の相談窓口担当者を対象に講習と演習をされました。

先ず「ゲートキーパーになり得る人とは」という点で「〇〇の窓口担当だから」や「肩書が〇〇だから」というものではなく、全ての私たちがゲートキーパーになり得る人であり、自殺を考える人の近くにいる人全てがゲートキーパーになれるという事を説明されました。研修後の参加者の感想となりますが、ある方は「自分に具体的に出来る事として、先ずは家族、妻の話をしっかり聞くという事を意識していきたい」と仰っていました。行政がいくら「〇〇窓口」や「〇〇機関」などを作ってもそこに「人の話をしっかり聞く」という姿勢の担当者がいなければその窓口は機能しません。その意味で、公的な機関は勿論大切で広く機能していくべきですが、それと平行して個々の意識が育つ事が改めて重要だと感じました。そして、私たち個々に傾聴の姿勢が備われば、自殺企図に至る前段階で留まる人はより増えると感じました。

また、研修会の冒頭では県内の自殺既遂者数が減少傾向にあるとのお話しがありましたが、後半では既遂者の後ろには企図者がその何倍もいる、というお話しに参加者の方々は頷いておられました。ですが「既遂者、企図者というのは『既に行動に移った人たち』であり、『行動にこそ至っていないが、自殺について考えた【意識】した人たち』はどれ程いるか」というお話しの際にはハッとされている方も見られました。「既遂者の数のみに目がいくが、その後ろにどれ程の人が自殺について考えたか、という事を聞いて、自分は普段漠然と自殺について受け止めていたが、俄然身近なものとして感じられた」と感想を述べられた方もいらっしゃいました。

演習ではワールドカフェ方式で4~5名程のメンバーが8つのホストのテーブルを7分程毎に回りました。最初はある程度同じ機関から出席した人同士、顔見知り同士でのグループでしたが、カフェが進むにつれて必然的に全く面識のない方、異業種の方同士となり、参加者同士も各々の専門業種から見た意見を非常に興味深く聴いたように見受けられました。今回様々な窓口の人たちが口を揃えて「色々な機関の人が自分と同じように行政機関の連携が大事だと感じているという事を知れてよかった」というのを聞き、行政機関は全て繋がっていて当たり前と思っていた「サービスを受ける側」としては少し驚きましたが、このような研修会を通して、少しずつでも「このような場合は〇〇へ」という確かな道筋を全体で共有できれば、やはり自殺を行動に移す前段階で留まれる人が増えると強く感じます。

今回出席した事で、自分自身大変勉強になりました。グリーフケアの基本である、「相手に寄り添い、話を聴く事の大切さ」が、やはりいかに大事な事で有意義な事であるかという事を再確認出来ました。貴重な経験をさせて頂きまして有難うございました。

グリーフワークかがわ認定カウンセラー ローマ真由子



「アシスタント講師を経験して」


香川県健康福祉部障害福祉課主催の、ゲートキーパー養成研修会にアシスタント講師として参加しました。研修の目的は「自殺とは、様々な要因が複合的に連鎖して起きるものであり、健康問題だけが原因ではないことを知ると共に、一人ひとりがゲートキーパーとしての自覚を持つこと」で、受講者は、公の立場から様々な人に対応し相談の窓口となっている方々でした。

「自殺予防‐私たちにでききること‐」をテーマに、杉山理事から「自殺とはなにか」「自殺に関する誤解について知っておくこと」の講義の後に、ワールドカフェ方式で自殺について示された「テーマ」に沿って、多様な問題意識や意見の交換が行われました。アシスタント講師として担当したカフェグループをラウンドすると、意外にも受講者から質問は全くなく、どのカフェも真剣にテーマについて時間が足りないほど語られ、個々に何かを得られていました。

今回、アシスタント講師を経験したことで、自分自身を振り返りながら多くのことを得ることができました。「アシスタント講師として手伝ってもらえませんか」と声を掛けられた時、アシスタントであっても講師が自分に務まるのか、期待に添えなかったらどうしよう、しかし、一方で自分が必要とされている、自分自身の経験や知識が人に役立つことは行いたい、など、不安と様々な想いを抱えながら担当することを決めました。研修会を前に、当日の打ち合わせや進行表の確認などがあり、今回アシスタントとして、ワールドカフェ中に受講者から質問があれば対応すること、質疑の中で主講師から問いかけがあれば答えることと役割が具体的になり、事前に自分がアシスタントとして何を準備するべきかが考えることができました。

当日は、緊張していましたが受講者の多様な意見を知る中で、自身の考え方の幅も広げることができました。自殺について学ぼう、ゲートキーパーとしての役割を担おうとされている受講者の眼差しから、7年前の自分自身を受講者の中に見たような気がしました。

私は、どうすれば自殺を考えている方が分かるのか、自殺を考えている方にどのような声掛けをすればいいのか、どうすれば絶望の中から自死ではなく、生きることへの希望に繋げられるのか、その答え知りたいと求めていました。そんな中、グリーフワークかがわのヘルプラインカウンセラー養成講座に出会い、答えを求めて受講しました。残念ながら私は、明確な答えをその場で得ることはできませんでした。しかし何かしなければと、グリーフワークかがわの一員として活動することを決めました。途中活動休止の期間もありましたが、今少しずつ活動を増やしています。今になって分かったことは、当時私が求めていた問いには、答えがないと言うことです。知識として自殺に関して学ぶこと、技術としてのコミュニケーションを学ぶことは重要で基本です。しかし自殺を考える方を知り共感し、思考の幅を広げる関わりをするために与えられる答えはなく、関わっていく自分自身と向き合っていくことだと、活動を通して学びました。

「誰も自殺に追い込まれることのない香川」の実現に向かって、受講者の方は進んでいます。私はアシスタント講師の機会を得たことで、様々な経験と振り返りができました。これからもグリーフワークかがわの一員として自己研鑽し真摯に活動していきたいです。

グリーフワークかがわ認定カウンセラー 大黒 理枝



◆リビングwithグリーフ◆


心の闇~否認

花岡 正憲


心理学用語に,否認(denial)という言葉がある。考えたり,思い出したりすると不快な感情を伴う事実や体験を心の隅に追いやってしまう自我の防衛反応の一つである。

ちなみに,取り調べや裁判などで,被疑者が容疑を否認と言うときもあるが,当人が罪状を認めようとしない意味で使われるときは,正確には否定だ。

大切な人との死別の事実に向き合おうとしないのも否認である。こうした時は,グリーフワークの過程が停滞し,心のどこかに歪を生じてしまうことがある。

アルコール依存症の人が,「自分には酒の問題はない」「病気ではない」「やめようと思えばいつでもやめられる」と言うのも否認だ。健康の回復のためには,直面化や告知,さらに病気の成り立ちや治療の見通しなどに関する心理教育が大切と言われる所以である。通常,人は病気や命にかかわることも,その事実に正面から向きあいたがらない傾向がある。普段は,自分自身の死の事実も否認されている。

騒がしいところでも本を読めたり,目の前の人が聞けたりするのは,周りの話し声や騒音などを自覚的な体験から分離できるからだ。否認は,日常生活を送る上で役に立っている場合もある。

否認によって,精神内界や外部からの情報を遮断し,あたかも事実がなかったかのように振る舞う。そのため,否認は心の闇を作ってしまうことも事実だ。

愛知県で開かれている国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で,従軍慰安婦問題を象徴する少女像などを展示した企画展「表現の不自由展・その後」が中止された。

「表現の不自由展」は,日本における「言論と表現の自由」が脅かされているのではないかという危機意識から,表現の機会を奪われてしまった作品を集め,2015年に開催された展覧会である。今年は,「表現の不自由展」で扱った作品の「その後」に加え,2015年以降,新たに公立美術館などで展示不許可になった作品を不許可になった理由とともに展示する予定であった。

「表現の自由は憲法で認められているが,一定の制約がある。これは日本人の心を踏みにじるようなものだ」少女像に対する行政検閲ともとれる河村名古屋市長の発言に触発されて,8月2日に「少女像を大至急撤去しなければ,ガソリン携行缶を持ってお邪魔する」という手書きのファックスが届いた。実行委員会の会長を務める大村知事は,翌日の3日,「安全な運営が危惧される」として,少女像を含む「表現の不自由・その後」をテーマにしたコーナーの展示を中止した。

表現や言論の自由が脅かされる現実もさることながら,「慰安婦問題はデマだ」という発言が飛び交う事態は深刻だ。

日本軍はイアン所で働かせるために14歳から20歳までの30万人もの女性を強制徴募した。慰安婦は一日当たり30人の相手をさせられた。戦争終結後,慰安婦の存在を隠蔽するために日本軍は彼女たちの多くを虐殺した。こうした多くの証拠や証人がある。

先の朝鮮半島や中国大陸への進出や植民地政策についても,「侵略戦争ではない」「南京虐殺はなかった」などと,事実を認めたがらない人たちは少なくない。しかし戦争によって当時の日本が多くのアジアの人々に苦難を与えてしまったたことは紛れもない歴史上の事実である。戦後70年を過ぎた今,謝罪や償いを求められる重たい罪の意識を排除したいという否認の心理が働いているからに他ならない。

グリーフワークとは,辛いことや嫌な体験などを自分の人生に取り入れることなく新しく生きて行くことは難しいと言う経験知に基づく心の作業だ。

社会的次元でも,日本の負の歴史の現実に謙虚に向き合おうとしなければ,新しい国の姿は望めず,忌まわしい過去は繰り返されかねない。


(グリーフカウンセラー 精神科医)
2019・8・31




◆2019年8月17日 第136回理事会◆


《審議事項》

第1号議案

「アドバンスコース(仮称)」に関する事項

グリーフカウンセラー養成講座・基礎コース修了後の認定カウンセラーの人材育成を目的とする応用コースの実施要領案について審議を行った。既存の実務者研修を活用することとし,今後もロールプレイや事例提出などの演習形式にて,認定グリーフカウンセラーを対象に研修を行っていくこととして了承された。

第2号議案

2019年度グリーフカウンセラー養成講座・基礎コースに関する事項

8月8日に開催された第2回講師会の内容,受講申し込み状況,会場費の振込完了について報告があり,第3回講師会は9月13日19時から開催予定として了承された。

第3号議案

技術援助事業に関する事項

香川県障害福祉課,香川県精神保健福祉センター,高松市保健センター,三豊市社会福祉協議会,西讃保健福祉事務所等からの講師派遣依頼について,調整の結果の報告があり,各担当者にて依頼元との調整を行っている。

①高松市窓口担当職員自殺予防対策研修会(仮称)(2019年9月19日)高松市
 担当講師:杉山,花岡,ローマ
②介護予防ボランティア養成講座(2019年10月30日)三豊市社会福祉協議会
 担当講師:杉山,ローマ
③令和元年度自殺対策相談窓口担当者研修会(2019年8月20日)香川県障害福祉課
 担当講師:杉山,ローマ,大黒
④ゲートキーパー普及研修(2019年10月29日)善通寺市窓口担当者
 担当講師:夛田,ローマ
⑤ゲートキーパー普及研修(2019年9月6日)西讃保健福祉事務所
 担当講師:夛田,ローマ
以上の内容で了承された。

第4号議案

新書籍発行に関する事項

新書籍の発行について,NPO法人取得10周年記念シンポジウムまでに完成することを目標に,担当者会議を持ち,近日中に印刷業者と交渉段階に入る段階であることが報告され,冊子の価格,原稿料執筆料,挿絵謝金について検討された。発行数は1000部で,昨年度取った見積もりは17万8千円前後であるが,修正箇所もあり,再度見積もりを取ること,ISBNは取得しないこと,頒布目的とするが販売時には1部500円と設定することで了承された。新書籍発行の予算は30万となっており,その予算範囲内で原稿料,挿絵作成謝金他を設定する。

第5号議案

2019年度香川県共同募金会テーマ募金の事業報告について

香川県共同募金会テーマ募金について今年度も香川県共同募金会に申請する予定ということで承認された。




◆2019年8月25日 第82回認定カウンセラー会議◆


  1. 各相談事業の報告
     6月の相談事業について現状報告があり,広報の効果について話し合った。
  2. 認定カウンセラー会議の参加者について
     参加者を増やすための意見交換を行った。


【勉強会】


グリーフワークかがわ倫理綱領の第1条から第4条の読み合わせを行い,検討を行った。