2019年(令和元年)10月グリーフワークかがわ
ニュースレター第186号(HTML版)
2019年(令和元年)11月10日 グリーフワークかがわ広報部
三豊市介護予防ボランティア養成講座について
10月30日(水)に三豊市で開催された「三豊市介護予防ボランティア養成講座(於:みとよ未来創造館3階大ホール)」にアシスタント講師として出席しました。
受講生は16名で講師は杉山理事長が行いました。養成講座の受講者はこれから介護する必要がある方、実際に現在介護されている方、地域の高齢者の居場所づくりやボランティア活動を行っている、または今から行おうと考えられている方々でした。
4日間で10項目の講座が開催される中、GWKは3日目の2限目でした。講座の内容が介護制度の説明や体操、緊急時の対応についてなどの実際の活動で相手に対して必要な実技的な内容が多い中、GWKではボランティアをする側の人間が自分自身を見つめなおすという、少し他とは方向性の違う内容で講座を行いました。
グリーフカウンセラー養成講座でも必ず行う「自分のグリーフ史」を書き出すワークを行い、それについてグループディスカッションの後、全てのグループの方に発表して頂けました。「様々なグリーフが自身にもあったなあ」という事に気づかれた方、「改めて思い返すと自分の今までの人生は幸せだった」と仰った方、「意識して思い出さなければ忘れていた事が意外にあった」という方や、「ここにまだ書くことができないグリーフがあった」という方など、それぞれが自身の通って来られた道を改めて思い返されていたのが印象的でした。
後半には事例を使用して「自分が事例の人物だとしたら、どのような支援があれば良いと思いますか。どのように周りからサポートしてもらいたいと思いますか。」というテーマでグループディスカッションをしてもらいましたが、実際に介護の経験がある方からは現実的なサポートについての例が出たり、ご自身の経験を発表してくださる方もいらっしゃる中、最終的には受講生の方殆どが「介護(というグリーフ)を一人で抱え込まず、色々な気持ちを話せる場や人が必要」と仰った事はとても心強く感じました。
相手の話を聴くという事の大切さを、恐らく誰しも感じているのですが、改めてそのことについて具体的に考えたり話し合う事で、その大切さははっきりとした形となるのだと思います。そして、目の前の相手の話を聴く時に「ああ、自分だったら」という気持ちになれ、寄り添えるのだと思います。今日、ボランティア養成講座は色々と開催されており、実技や方法、理論なども沢山学べる機会が増えてきていますが、その中にあって「サポートする側」の姿勢や気持ちにも目を向ける機会は「寄り添う」という事にまず必要な事だと思います。今回の養成講座では「自分の事を見つめなおす事で相手により寄り添う事ができる」と感じて頂けたのではと思いました。受講生の方からも、講座後に「このような、自分の気持ちについて考える講座も良かった」「今から自分に必要な事が学べた」と声を掛けて頂けました。受講生の方のお話しを聞き、グリーフケアの必要性とグリーフワークの大切さを改めて感じました。今回の2つのワークは自分を見つめ直し、他者の気持ちを感じてみるという点でとても分かり易かったかと思います。分かり易い方法で少しずつグリーフについてお伝えしていくことが大切だと改めて感じた講座でした。貴重な経験をさせて頂きまして有難うございました。
グリーフワークかがわ認定カウンセラー ローマ真由子
2019年度グリーフカウンセラー養成講座・基礎コースを終えて
2019年度のグリーフカウンセラー養成講座・基礎コースが終了しました。今年は参加者が11名、講師陣は12名でした。今年度のテーマは、昨年度と同様、「喪失体験」、「悲哀と悲嘆」、「家族の死」、「子どものグリーフワーク」、「自殺予防」「末期がん患者の看取りと喪失」、「グリーフカウンセリングの終結」、「カウンセラー自身の悲哀」でした。今年度の特徴として、昨年度講座の各回が独立して、相互関連が薄かったとの反省から、事前に講師会を何度も行い、統一して連続した講座となるよう企画しました。特に、想定事例を活用した演習に重点をおき、共通事例を使うことで、グリーフ及びそれに対応したカウンセリングへの理解が深まったと考えています。参加者の方は、今年も昨年同様、看護師等の専門職の方もおおく、それぞれの職場でこれまでの仕事についても、グリーフを通じて、また、違った観点からの理解にもつながったのではないかと思っています。
講座を終えた今、グリーフということについて、その理解と対応の幅広さと奥深さを感じています。例えば、自殺というテーマについて今回、「自殺予防」をテーマに取り上げましたが、「自死遺族のグリーフ」という別のテーマもあります。また、第1回及び第6回では、2つのテーマを取り上げましたが、やはり、1つのテーマでそれぞれ1回を取り組むべき内容のものでないかという意見が講師会でありました。このような中、何らかの形でこの養成講座・基礎コースのアドバンスバージョンを考えていく必要があるかも知れません。
グリーフカウンセラーは、当事者のグリーフワーク(大切な人を亡くした当事者が行う「喪の作業」)を支援する援助者であり、次の喪の4つの課題
- 課題1:喪失の現実を受け入れること
- 課題2:悲嘆の痛みを消化していくこと
- 課題3:故人のいない世界に適応すること
- 課題4:新たな人生を歩み始める途上において、故人との永続的なつながりを見いだすこと
に当事者が取り組めるよう支援する役割があると考えています。この4つの課題はカウンセラーだけでなく、本人も、また、周囲の人も理解していく必要があると考えます。配偶者など人生の伴侶を途中で失う(喪失する)ことは、亡くなった人だけでなく、遺された本人にとても、自分の将来の人生を喪うことでもあります。この事実を受け止め、人生を再び、歩み始めて行くには、亡くなった人への思いを断つのではなく、その人を自分の人生においてリフレーミングし、今までとは異なるかたちでパートナーとして位置づけ、共に人生を歩んでいけるようになることが必要ではないかと考えています。
最後に、この講座に参加された参加者の皆様、また、企画を担当された講師陣、そして講座の際に加わっていただいたアシスタント講師の方々、本当にお疲れ様でした。
グリーフワークかがわ認定カウンセラー 池島邦夫
2019年度グリーフカウンセラー養成講座・基礎コースに出席して
2019年度グリーフカウンセラー養成講座・基礎コースにアシスタント講師として参加させていただきました。今年は受講生が11名、アシスタント講師を含めた講師陣が12名でした。テーマは昨年と同様、「喪失体験」、「家族の死」「子どものグリーフワーク」「自殺予防」「末期がん患者の看取りと喪失」「カウンセラー自身の悲哀」でした。受講生は看護師、獣医、ケアマネジャーといった専門職の方もいらっしゃれば、ロールプレイを初めて経験する方もいらっしゃいました。
今回の養成講座では第2回「家族の死」と第3回「子どものグリーフワーク」、また第5回「末期がん患者」第6回「カウンセラー自身の悲哀」において同じ事例を使用する試みが行われました。その背景にはテーマが独立することなく、「連続性」や「一貫性」を持たせるというねらいがあったと思います。またロールプレイを行った後にグループディスカッションを設ける回もありました。話し合う時間があることで自分の考えを共有したり、他の意見を取り入れることができたのではないかと思いました。受講生の方々も積極的に取り組まれており、特に前回学んだことを次回のロールプレイに活用されている方も多くいらっしゃいました。回を重ねるごとに学びが深まっている様子がとても感じられました。
私は昨年受講生として参加したため、昨年自分が感じたことを振り返りながら取り組むことができたのではないかと思います。昨年は緊張もあり、毎回新しい学びに必死になっていましたが、今年は受講生の方の意見を聞きながらゆっくり考える余裕があったように思います。一方で、ロールプレイの中で沸き起こる感情は常に新鮮でした。また、ロールプレイを行うメンバー以外で、ファシリテーターとして講師の方々がロールプレイに参加される回もあり、俯瞰的に考えや感じたことを言っていただけたのはとても勉強になりました。1つの事例を挙げても、それに対する考えや価値観は様々であるため、カウンセラー役の方のアプローチも異なります。そのため、学びを共有しあうことはよりよい支援に繋げていくためにとても重要だと思いました。
昨年から引き続き養成講座に参加できたことは大変貴重な機会となりました。また、たくさんの人とロールプレイをしたり話し合いをできることも、普段の生活では得られない学びでした。そして、昨年の学びを踏まえつつ今回の養成講座に臨めたことは、私にとって大きな枠組みでの「連続性」になったのではないかと思います。養成講座に参加された受講生の方が次年度の養成講座に講師側として参加することは、とても意義のあることであり、深い学びに繋がっていくのではないかと思います。今回このような機会を与えていただけたことに感謝しております。
そして最後に講師の皆さま、受講生の皆さま大変お疲れ様でした。
グリーフワークかがわ認定カウンセラー 松岡紗智子
リビングwithグリーフ
川の流れのように
花岡 正憲
「あなた方は,その空虚なことばで私の子ども時代の夢を奪いました」「あなた方は,私たちを裏切っています」9月23日にニューヨークで開催された「国連気候アクション・サミット2019」のスピーチで,スウェーデンの16歳の少女グレタ・トゥーンベリさんは,こう語った。
CO2排出量の最も多い国は中国,次いでアメリカ,この2か国で全世界の40%以上を占めている。日本は,5番目に多い国である。日本政府は,2050年までのCO2ゼロにも,2020年までの削減目標引き上げにも参加してない。グレタさんのスピーチは,「今だけ,金だけ,自分だけ」と言う政財界への痛烈な批判でもある。
10月12日に日本に上陸した台風19号は,関東甲信地方や東北地方などで記録的な大雨となり,甚大な被害をもたらした。千曲川,信濃川,阿武隈川,多摩川など,7つの都県の59河川,90か所で川が決壊,越水などの氾濫は延べ253河川にのぼり,死者は12都県80人,住宅被害は5万6千棟を超えた。自然の猛威の前に言葉もなく立ち尽くすいま,あらためて自然との向き合い方が問われている。
一般に大企業は,自然災害の可能性が高い所へは進出せず,天平時代に,国家鎮護のために,全国に国分寺を置いたところも自然災害が少ない所だ。近年自然災害が相次ぎ,ハザードマップが作られたが,住民生活に役に立っているかどうかは疑問だ。
いつものことながら,一般住民に向けて大事を取って避難所への避難を呼びかけると言うことは,一般住居や社会福祉施設など,日常的に人々の生活が営まれている地域は,災害リスクが高い所だということだ。避難することが少なくて済む都市計画抜きでは,いつまで経っても災害に強い町づくりは期待できない。
住民本位の都市計画を怠り,「想定外」や「未曾有」で逃げてしまう政治の責任は重大だ。河川政策のあり方も問われている。「命を守る行動をして下さい」と呼びかけることを人命尊重のアリバイ作りとするのではなく,「命を守るための川とのつき合い方」を根本から見なおす必要があろ。
堤防のかさ上げ工事や河川の拡幅工事には限界がある。上流からの土砂が堆積して天井川を形成する。スーパー堤防の建設も現実的ではない。いつどこで氾濫が起きるか分からない中で,特定の地域だけの氾濫リスクを下げるのは,他の地域のリスクを高める。
急ごしらえの土留め工事で宅地開発を行ない人が住むようになったところは,全国いたるところにある。2014年8月20日に広島市北部の住宅地で発生した大規模な土砂災害は,まだ記憶に新しい。戦後復興,そして高度経済成長を急ぐ中でで,河川氾濫危険水域にも住宅が密集するようになったことは否定できない。
千曲川は,1981年以降でも,10回氾濫している。ダムと堤防を造れば,流域のどこへでも住めると言うのは安全神話に過ぎない。多摩川の氾濫地区では,川の風情を大切にし堤防が築かれていないところがあった。これには賛否があるとは言え,川と対立的にならない,もっと賢い自然との付きあい方があるだろう。
古代ギリシャの歴史家ヘロドトスは,「エジプトはナイルの賜物」と語っている。ナイル河の氾濫は,肥沃な土をもたらし,エジプト文明が築かれた。これをそのまま現代社会に当てはめることできないだろうが,例えば,流域に氾濫してもよい遊水地を随所に設けることで,氾濫を避けたい場所の氾濫を防ぐ方法もあるはずだ。町づくりや国づくりのために,歴史や先人の知恵に学ぶ謙虚さと賢明さが求められる。
「地図さえない それもまた人生/ああ 川の流れのように ゆるやかに いくつも 時代は過ぎて/ああ 川の流れのように おだやかに この身を まかせていたい」
往年の美空ひばりが歌った「川の流れのように」(秋元康作詞・見岳章作曲)の歌詞の一部である。人の生き方を唄ったこの歌は,いまも口遊まれることが多い。
この夏,モンブランの麓フランスのシャモニーへ旅する機会があった。山岳博物館で氷河の歴史を学ぶとともに,シャモニー渓谷から見上げる山岳氷河の舌の後退を間近に目にした。温暖化によって,ゆるやかに流れる川だけでなく,氷河と言う河も変わりつつある。
今回の氾濫では,車両センターにある北陸新幹線の車両が,あふれた水にどっぷりつかった。速さに象徴される近代文明への警鐘とも思える光景だ。
何かを失いたくないために,ひたすら先を急ぐ。そうした中で,大切なものを失ってしまう。原発事故もそうだった。温暖化による地球環境の破壊,そして,その先は人類の滅亡でなければよいが。
(グリーフカウンセラー 精神科医)
2019・10・22
報告
◆2019年10月21日 第138回理事会◆
《審議事項》
第1号議案
2019年度上半期事業報告と会計報告に関する事項
村上理事及び会計担当より活動計算書が示され,上半期の事業についての会計報告がなされた。また,杉山理事長より2019年上半期事業報告一覧を基に上半期事業について報告され,下半期の事業の進行について確認をおこない承認された。
第2号議案
会計担当者との契約に関する事項
理事長より業務委託契約の内容の確認が行われ,契約書は原案通り,正式に契約が行われたと報告がなされた。
第3号議案
一旦講師派遣中止を行った高松市保健センターへの技術援助に関する事項
9月19日に予定されていた高松市保健センターへの講師派遣について,技術援助担当花岡理事より記録表を基に経緯の説明が行われ、今後の対応について審議した。今後,杉山理事長が保健センター長と話し合いの場を設けることで,花岡理事より保健センター担当者へ連絡することで了承された。
第4号議案
NPO法人取得10周年記念事業に関する事項
第2回・第3回実行委員会の報告が行われた。実行委員長夛田理事より,当初2020年2月開催予定としていたが,講師依頼や広報の準備期間などを考えて開催を来年度に延期とし,本年度は記念事業準備年度とする方針が示され,承認された。
第5号議案
2019年度公開セミナーに関する事項
事業計画として2回の開催を挙げており,下半期2回の実施予定で準備を進めることで了承された。普及啓発事業担当理事が中心となり,開催までの準備を進める。
第6号議案
香川県共同募金会令和元年度テーマ募金(令和2年度事業)に関する事項
夛田理事より,10月21日,令和元年度テーマ募金参加団体連絡会に出席し,今年度も「大切な人をなくした子どもの悲しみを支援するためのプロジェクト募金」として1月から3月の期間にテーマ募金を行う予定で準備を進めていることが報告された。小松印刷と打合せを行い,チラシ案を作成予定となっている。スケジュールは例年通り,募金額は50万と設定することで了承された。
第7号議案
ブロシュール印刷に関する事項
2019年度のブロシュール印刷発注に向けて内容の検討を行い,今月の認定カウンセラー会議にて審議された内容を基に,グリーフカウンセリングのブロシュールに,相談室の地図を掲載することで了承された。また,今年度はひまわりミーティングのブロシュールについても3つ折り版を作成することとし,ブロシュール案が理事上野より示された。ひまわりミーティングのブロシュールは細部を修正後,県内の保育園・幼稚園・こども園を中心に発送をAIYAシステムに発注する予定とする。
第8号議案
グリーフワークかがわ相談事業のホームページ掲載事項変更について
認定カウンセラー会議での検討により,第7号議案同様,相談事業のホームページに相談室の地図及び住所を追加掲載することで,了承された。レイアウトはAIYAシステムと協議する。
◆2019年10月20日 第84回認定カウンセラー会議◆
- 各相談事業の報告
9月の相談事業について現状報告があった。 - 身近な人をなくした方のグループミーティング参加者からの問い合わせについて
事務局電話に問い合わせがあったことについて,対応の報告とその対応についての検討を行った。個人情報の漏えいや,目的外使用にならないよう慎重な対応が今後も求められることが確認された。
【勉強会】
「特定非営利活動法人グリーフワークかがわ相談員倫理綱領」
- 第5条 職務上資質の向上と自覚
- 第6条 公的な発言
- 第7条 相互啓発と倫理違反への対応
- 第8条 本綱領の見直しについて
- 第5条から第8条を杉山理事長が読み上げたあと,意見交換を行い,倫理綱領を概念としてだけでなく、実務として根差していかねばなさないことが確認された。